睡眠時無呼吸症候群(SAS・サス)
睡眠時無呼吸症候群(SAS・サス)
睡眠時無呼吸症候群は気道の閉塞などが原因で睡眠中呼吸が止まった状態(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)が繰り返される病気です。睡眠時無呼吸症候群では良質な睡眠が妨げられ健康障害が生じてくることが明らかにされています。生活習慣病や心血管系の病気(高血圧症・心臓病・糖尿病・脳卒中など)、うつ病、認知症などの原因の一つであり、居眠りや集中力の低下から交通事故やミスも増えることが報告されています。
多くの原因は鼻から喉頭にかけての狭窄があり、狭くなった気道を空気が通ることで“いびき”が生じます。肥満による首や喉まわりの脂肪沈着、小顎症、扁桃肥大、舌根・口蓋垂・軟口蓋による狭窄など解剖学的なものや、加齢や睡眠時における呼吸の調節能力の低下など、機能的な要因も関連します。
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初診予約
睡眠時無呼吸症候群の初診は予約制となります。お電話にてお問い合わせください。
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初診
健康保険証・診察料(2000円前後)・おくすり手帳、お持ちの方は紹介状・簡易検査の結果・血液検査の結果をお持ちください。
問診・診察・一般的な検査(胸部レントゲン撮影、心電図)
終夜睡眠ポリグラフィー検査の説明、予約
入院オリエンテーション
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パルスオキシメーターでスクリーニング
簡易検査をされたことのない方は、初診時にパルスオキシメーターを貸し出します。
ご自宅にて一晩装着して記録をしていただき翌日または翌々日の受付時間内にご返却ください。
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終夜睡眠ポリグラフィー検査
19:00~20:00にご来院いただき、翌朝5:00~6:30頃お帰りいただけます。
詳細は下記より<検査当日の流れ>をご確認ください。
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結果説明予約
検査のデータ解析は検査技師が目視(マニュアル解析)で行うため1~2週間程度のお時間をいただきます。
解析終了後、当院よりお電話いたしますので結果説明をご予約ください。
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結果説明
医師より検査の結果説明・今後の治療方針についての説明があります。
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治療開始
代表的な治療法にCPAP療法とマウスピース療法があります。詳細は下記の治療法をご参照ください。
当院では終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG検査)という睡眠時無呼吸症候群の検査の中では最も精密な検査方法で、睡眠の質・呼吸の状態・血液中の酸素飽和度などから客観的・総合的に患者様の状態を判断します。検査自体は難しいものでも危険なものでもありません。いくつかのセンター類をつけますが、普段通りに眠っていただくだけです。どうぞリラックスしてお休みください。
脳波・目の動き・顎の筋肉の緊張度から、睡眠の深さや脳の目覚め(覚醒反応)を調べ、睡眠の質を総合的に評価します。呼吸の乱れや脚の動きなどにより生じる睡眠障害の有無を確認します。
呼吸・胸腹・体位センサーで無呼吸や低呼吸の有無・長さ・種類などを判断します。動脈血酸素飽和度センサーで血液中の酸素の濃度を調べ、睡眠中に酸素不足に陥ってないかを確認します。
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19:00~20:00 受付・会計・診察
夕食を済ませ、19:00~20:00にご来院ください。
通常の入口からお入りいただき受付・会計をお願いいたします。
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20:30~順次 センサー装着
センサーの装着には1時間弱ほどのお時間がかかります。
お着替え・お手洗い・歯磨き等、お休みの支度をしてお待ちください。
センサー類はテープで固定します。テープかぶれしやすい方はお伝えください。
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21:30~ 消灯
センサーの装着が終わり次第、消灯となります。
検査中は携帯電話を含めた電化製品の電源をお切りください。検査結果に影響が出る恐れがあります。
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5:00過ぎ~順次 起床
起床時間になりましたら、検査技師がセンサーを外しに病室へ伺います。
センサー装着時に使用するクリームが頭・顔に残りますのでシャワー室をご利用ください。
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6:30頃まで退院
お帰りの支度ができ次第、退院となります。
起床から30~40分程度でお帰りいただけます。
注意事項
治療は重症度や原因に応じて選択します。代表的な治療法は、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とマウスピース療法があります。
重症度分類にはAHI(無呼吸低呼吸指数)という睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合計した数により判断します。AHIが5以上の場合に睡眠時無呼吸症候群と診断され、5回以上15回未満の場合「軽症」、15回以上30回未満の場合「中等症」、30回以上の場合「重症」と判定されます。
CPAP療法は中等から重症に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。
マウスピース療法は軽症から中等症に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。ご希望の場合は歯科医院でマウスピースを作成していただくようになります。その際は当院から紹介状を用意します。
生活習慣の改善によりいびきや無呼吸が改善することがあります。
特に肥満を伴う睡眠時無呼吸症候群の場合、減量が有効な治療となることがあります。
仰向けで寝ることで気道が閉塞しやすくなり無呼吸が増加する場合があります。横向きで眠れるように工夫をしてみましょう。
喫煙は血液中の酸素濃度を低下させ、睡眠中の無呼吸にも悪影響を与えることがあります。
飲酒はイビキや無呼吸を悪化させることがあります。また、寝つきは良くなりますが、睡眠の質を悪化させてしまう作用があります。
気道閉塞の原因が扁桃の肥大であることが明らかな場合は手術で取り除くことがあります。当院では対応できないため耳鼻科へ紹介させていただくようになります。また、現在のところ睡眠時無呼吸症候群に対して治療効果があると証明されている薬剤はありません。